症状別案内


血圧とは?
高血圧とは?
長い間血圧の高い状態が続くことによって脳や心臓をはじめ全身の血管が傷んでゆく病気です。
高血圧の基準となる血圧値は数年毎に見直されていますが、「高血圧治療ガイドライン2014」では、下記の血圧を高血圧と定義しています。
診察室血圧 | 家庭血圧 | |
---|---|---|
若年、中年、前期高齢者患者 | 140/90mmHg 未満 | 135/85mmHg 未満 |
後期高齢者患者 | 150/90mmHg 未満 (忍容性があれば140/90mmHg 未満) |
145/85mmHg 未満(目安) (忍容性があれば140/90mmHg 未満) |
糖尿病患者 | 130/80mmHg 未満 | 125/75mmHg 未満 |
CKD患者(蛋白尿陽性) | 130/80mmHg 未満 | 125/75mmHg 未満(目安) |
脳血管障害患者 冠動脈疾患患者 |
140/90mmHg 未満 | 135/85mmHg 未満(目安) |
高血圧はなせ怖い?
高血圧であっても、ほとんどの場合、特別な自覚症状は現われません。だからと言って放置しておくと、高い血圧によって全身の血管が徐々に障害を受けます。
たとえば脳の血管が障害を受けると脳卒中(脳梗塞・脳出血)をきたしますし、心臓に栄養を送る冠状動脈が障害を受けると狭心症・心筋梗塞になります。
この他にも、腎臓の血管が障害されて腎不全から透析になったり、下肢の血管が詰まって壊疽をきたしたり、網膜の血管が詰まって視力障碍を生じる事もあります。これらの病気を未然に防ぐためにも、高血圧の予防と治療は重要です。
正しい血圧の測り方
自宅で血圧測定をすると正常なのに、病院や健康診断で医師や看護師に測ってもらうと血圧が上昇する人が少なくありません。
いつもこの様になる人のことを「白衣高血圧」と呼びます。
「白衣高血圧」の有無を確認するために、自宅で「家庭血圧」を測定しましょう。
血圧は早朝に上昇し、夜間睡眠時に最も下がる事が多いです
- 上腕で測定しましょう(手首や指で測ることは、正確性の点からお勧めしません)。
- 腕帯(カフ)が心臓の高さに来るようにし、指が一本入るくらいに巻きましょう。
- 出来るだけいつも同じ側の腕で測定しましょう。
- 一度に2回測定し、その平均値を記録として残しましょう。
- 血圧の値に一喜一憂しないようにしましょう(不安でしたら医師に相談を)。
- 起床後1時間以内
- 排尿後、朝食前、朝の服薬前に
- 座位になって1~2分間の安静の後に
- 就寝前に
- 座位になって1~2分間の安静の後に
高血圧の予防・改善のための食事
- 塩分摂取量を1日6g未満にする
- 野菜や果物を積極的に摂る(含まれるカリウムやマグネシウムが血圧を下げる)
- 何にでも塩・醤油・ソースをかける習慣をやめる
まず料理の味をみて、どうしても必要なら使うようにしましょう - 醤油やソースは一度、小皿に取ってから使う
たっぷり浸すのではなく、チョンとつけるようにしましょう - 食卓にいつもふりかけや佃煮を置いておかない
塩味の誘惑に負けないようにこれらの食品は目の前から遠ざけましょう - ラーメンやうどんの汁は残す
ラーメンは麺に1~2g、汁に4~6gの塩分が含まれています - 塩味を効かせたいときは香辛料や薬味を活用する
酢、レモン、カレー粉・シソ・ゆず・しょうが・唐辛子・ゴマなどが有用です
日常生活の見直し
運動
適度な運動を継続すると血圧を低下させる効果があります。効果的な運動方法は体内に酸素を取り入れる「有酸素運動」です。
具体的には速歩・サイクリング・プールでの水中歩行などです。
また、日常生活の中でエスカレータより階段を利用する・一駅分歩いて通勤する・少し離れたスーパーに買い物に行くなどの意識を持つことが効果的です。
運動により消費されるカロリーはそれ程ではありませんが、運動習慣をつけることでカロリーを消費しやすい体が作られます。
飲酒
適量のお酒とは1日のアルコール量が20g以下を指します。
下記(「健康日本21」より)を参考にしましょう。
お酒の種類 | アルコール度数 | 純アルコール量 |
---|---|---|
ビール (中瓶1本500ml) |
5% | 20g |
清酒 (1合180ml) |
15% | 22g |
ウイスキー・ブランデー (ダブル60ml) |
43% | 20g |
焼酎(35度) (1合180ml) |
35% | 50g |
ワイン (1杯120ml) |
12% | 12g |
高齢の方、アルコールの弱い方、女性は20gよりも少ない量を目指しましょう。
飲酒習慣のない人は無理に飲む必要はありません。
入浴
入浴も上手に行えば全身の血液循環を良好にし、血圧を下げることにつながります。
- 42度以上の熱いお湯ではかえって血圧が上がってしまうので要注意です。
35~40度位で、少しぬるいと感じられるくらいのお湯につかった方が血管の緊張が緩み、血圧は下がりやすいです。 - お湯に肩までつかるよりも、みぞおちあたりまでの半身浴をゆっくりと続けた方が効果的です。
- 浴室と脱衣所の温度差に気を付けましょう。
薬物療法
食事療法や運動療法などの生活習慣の改善を数ヶ月行っても血圧が改善しない場合には薬物治療を検討します。
血圧を下げる薬は多岐にわたり、患者さんの血圧の程度・年齢・合併症の有無・ライフスタイルなどを考慮して選択します。
はじめは少量から開始し、血圧の反応を見ながら増量・他剤との併用などを検討します。
体重が減ったり、運動を始めたりすれば降圧剤を減らしたり中止することも可能です。
また、夏と冬では血圧は5~10mmHgくらい異なりますので、季節によって容量を調節する場合もあります。
- その日の体調や血圧値によって、内服量を変えない
- 自己判断で服薬を中断しない(医師に相談しましょう)
- 飲み忘れても2回分を一度に内服しない
- 副作用が疑われる場合はすぐに医師に相談を